フロマGのチーズときどき食文化

まずはサラダからどうぞ

2011年1月4日掲載

お待たせしました。「フロマ爺のチーズちょっといい話」は、この2月で100回を迎え、チーズの話だけでこれ以上はきついよ、ということでしばし休ませて頂きました。そこで、今回からはチーズプラス食卓周りの話をもろもろ取り混ぜて、食事会などで話題にできそうな話ができたらいいなと思い、少し間口を広げて新しくスタートします。

タイトルの「チーズときどき食文化」は少し硬いかなと思ったけど、ま、いっかという生来のズボラ精神で決めました。タイトルの割にはくだけた話になると思います。

ユキヤナギ・サラダはいかが

それで最初はサラダの話です。以前から近辺の河川敷や住宅地などをウォーキングしていますが今は花が多くてとっても気持ちがいい。その中に珍しくミモザの花がありました。この花を見ると「ミモザ・サラダが食べられるようになるとパリは春です。」と、昨年お亡くなりになったシャンソン歌手の石井好子さんが何かに書いていたのを思い出します。

このサラダは春野菜に裏ごしのゆで卵の黄身を載せた春らしい美しいサラダですね。でも、私の周りではミモザはめったに見られない。その代わり、真っ白なユキヤナギは至るとこに咲いていました。それを見ながら春野菜にリコッタやカッテージをのせてユキヤナギ・サラダというのはどうだろうか、などと考えながら歩いていました。

さて、そこでサラダについて少し書いておきます。Salad(仏語=Slade、伊語=Insalata)は元々ラテン語の塩をした(salare)という言葉からきたとのこと。ローマ時代には既に生野菜に塩を振って食べていました。ソース(Sauce)の語源も同根の様ですがこれはいずれ書きます。ところでサラダのソースは塩、酢、油脂が基本ですね。

フランスにこんなざれ歌がある。「サラダ作りにゃ四人要る。塩を注意深く使う人、酢をけちけち使う人、油を気前よく使う人。最後にこれを無茶苦茶かき混ぜるバカ者」

パリ学生街のサラダのランチ

いまどきの主婦はサラダソースを作る人は少ないでしょう。でなければあんなにたくさんのドレッシングが店に並ぶはずがない。上等なワインヴィネガーと極上のオリーヴ油が少しあれば、とびっきりのソースが作れるのにね。私に言わせれば、市販のドレッシングは酸っぱすぎ。酢はけちけち使ってほしい。誰でもご存じのサラダといえば、ニース風サラダ(Niçoise=ニソワーズ)にシーザー・サラダ(Caesar Salad)でしょうね。シーザーの方は最初に作られたのは1924年7月4日と妙にはっきりしています。アメリカの独立記念日ですね。アメリカ国境近くのメキシコのレストランで、イタリア系の店主シーザーさんの作といいます。このサラダは、当時は揚げたクルトンやパルメザンチーズ、ロースト・チキンが入っていたそうです。南仏発祥のニソワーズの方は、近年堕落したとフランスのル・モンド紙が嘆いていたけど、正統派のニソワーズの決まりは卵以外に火を通したものは入れない、酢は使わない、アンチョビとツナは一緒に入れないなどだそうです。

数年前パリの学生街で学生スタイルの昼食を食べにカフェに入ってメニューを見ると、何種類かのサラダがあった。サラダといっても、チーズ、ハムソーセージ、ゆで卵などが入っているヴォリュームたっぷりのもの。オーヴェルニュ風というのはカンタルチーズに特産のハムやソーセージが入る。ニソワーズもありました。私はナント風(だったと思います)を注文。ナントはロワール河畔の町でシェーヴルの産地ですから輪切りのシェーヴル・チーズのローストが乗っていました。