![](/upfiles/files/2017/05/3b34468ce80d15d129e9210f421ef754-300x198.png)
パスタ・フィラータ(Psta filata)というイタリア語は、日本ではチーズのジャンルを指す言葉として業界ではよく使われているが、一般にはあまり知られていないようです。パスタとはスパゲッティーやマカロニなどのいわゆるイタリアの粉もの製品を指すほか、パン生地などの練り物やチーズの生地を指すこともあるのです。フィラータは糸状のなどの意味があり、合わせて直訳すれば糸状のパスタ。イタリアにはこのタイプが非常に多いのですが、例えば日本に「さけるチーズ」というのがありますね。あれがまさにパスタ・フィラータだといえばイメージしやすいでしょうか。これはイタリアのこの手のチーズを手本に、きれいに糸状にさけるように精密に作られたものです。本場イタリアのこのタイプの代表といえばだれもが知っているモッツアレラですね。
![](/upfiles/files/2017/05/dbf33057e9d10dbeb7e95915a5cddf35-300x204.png)
作り方をかいつまんで説明すると、乳を凝固させて脱水した出来立てのチーズ(カード)を発酵させ、一定の酸度に達したら細かく切って熱湯を加えて練る。すると、つき立ての餅のように伸びるようになるのです。チーズの組織が繊維状になるんですね。それを、熱いうちに目的に合わせた形に成型します。イタリアにはピンポン玉くらいのものから、100kgくらいの大きなものまで形も様々です。よく見かけるのは瓢箪型ですね。日本でも各地で作られています。このタイプのチーズはフレッシュのまま食べるものから、熟成させるものまで様々。ただし熟成させると組織が変化しさける機能は失われてしまいます。
![](/upfiles/files/2017/05/ba5e0e39e0f92c717df593867c5ce7b6-238x300.png)
このように繊維状の組織を持ったチーズができた経緯や歴史はほとんどわかっていませんが、数千年単位の昔に、中近東のどこかで発明されたらしい、と推測する研究者もいます。トルコやシリアにもこの系統のチーズがありますが、西ヨーロッパでは、イタリア以外ではほとんど見かけないのはどうした事でしょうか。
イタリアではモッツアレラのほかにブロヴォローネ、カッチョカヴァッロ、ラグザーノなどD.O.P.指定チーズのほかに、市場などでは様々な形のパスタ・フィラータが売られている。細工しやすいので動物の形をしたものなどをよく見かけますが、写真のような巨大な三つ編みのものもありました。驚いたことにこの三つ編みを丸ごとパーティーのチーズ・プレイトに豪快に盛り込んだりするのです。何だろうと思って売り場でこのチーズの名前を確かめるとPasta filata、とありました。そのまんまです。おおらかですね。
![](/upfiles/files/2017/05/b5d6eed128d7f7d2ea505e61864b1afa-300x233.png)
![](/upfiles/files/2017/05/87b4d2734fa72605eb1871439f09c9d3-300x219.png)