フロマGのチーズときどき食文化

クリスマスの謎

2011年12月20日掲載

クリスマスです。キリスト教徒が少ない日本人(1%以下)はクリスマスが宗教行事と思っている人は少ないでしょう。街にイルミネーションが点灯しジングルベルが景気をつけ、友達や恋人とはじけるワイン飲んで、ご馳走食べて贈り物をやったり貰ったり。皆キリスト様のお姿など思い浮かべない。そうは言ってもキリスト教系の信徒が70%に近いというアメリカだってこのシーズンの小売業は年間の20%を売上げると言うから、買い物月間と言えなくもない。とはいっても我々も大騒ぎするわけだから、クリスマスって何だ?と一度くらいは考えてみても罰は当たらないでしょう。

素朴なイルミネーション

クリスマス(christ’s Mass=キリストのミサ)は降誕祭と訳されキリストが誕生の日と多くの人は思っていますね。でも、キリストがこの日に生まれたとはどこにも書いていないということです。ま、それはいいでしょう。ではクリスマスの主役のサンタクロース。あれは何者だと思いますか。おとぎ話の中の人物? この人は4世紀ごろに小アジア(今のトルコ)に実在したニコラウスあるいはニコラという偉大な司教さんです。後に聖人に列せられたので、名前に「聖=セント、サン」等の字が付いてサント・ニコラウスとなる。アメリカや日本で言うサンタクロースの名はオランダ語のシンタクロースが広まったとの事。彼は貧しい家の煙突から金貨を投げ入れた。それが暖炉に干してあった靴下に入ったというお話からサンタが煙突から入ってくる事になったのでしょう。 聖ニコラオスのお祭りは12月6日で贈り物をするのは本来この日なんだそうです。それにしても小アジアの司教様が、北極に住むトナカイの橇にのっているのは変ですね。最初はロバに乗ってたそうですが。という風にクリスマスは謎に満ちています。 その話はこれ位にして、クリスマスに食べる物の話です。日本では大方は出来合いのデコレーションケーキですね。アメリカでは七面鳥を食べるのですが、この鳥はアメリカに沢山いたからでしょう。このアメリカ大陸原産の鳥がターキー(Turky=トルコの)というのは変ではないですか。スペースが無いので書きません。調べてみてください。 フランスでは最近、高価なブレスの肥育鳥の丸焼きやフォワグラを食べるとか。豊かになったんですね。 クリスマス料理の定番といえば菓子類が多い。クグロフとかパネトーネとか、ジンジャー・クッキーなんて言うのもある。フランスのビュッシュ・ド・ノエル(Buche=薪、Noel=クリスマス)のいわれは諸説ありますが、貧しくてプレゼントが買えない人は暖炉の薪を持ち寄ったという故事から作られたケーキとか。

クミン入りマンステル(手前)アルザスで

チーズの話に入りますが、クリスマスに関係したチーズの話はあまり聞かないのですが先のビュッシュになぞらえれば、薪の形のビュッシュ・ド・バノンとかサントモールなどいかが? いずれもフランスの山羊のチーズです。フランスのアルザス地方ではクリスマス用のチーズはマンステルにクミンシードを入れるそうです。 さて、クリスマスが終って一週間したら着物を着て神社に初もうでです。文科省の資料によれば日本人の神道系の信者は1億7千万人だそうです。エー!ウソッソーという数字ではないですか。その上、他の信者を足すと人口を越える。謎の民族ですね、日本人は。